土地建物の一括譲渡の消費税を巡る事件<東京地裁、令和3年(行ウ)第123号>:
2023/06/16
1.(趣旨)当事者間で合意された売買契約書で土地と建物の対価が区分されている場合でも、
「課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていない
とき(消令45③)」の規定が適用され得るとされました。
2.(争点と結論)
①土地と建物の一括譲渡に当たり、売買契約書で土地と建物の対価の額が区分
されている場合に「合理的に区分されていないとき」の規定が適用されるか否か。
→一括譲渡の場合の課税標準の算定に当たって、当事者間で明示的に「合意」した
金銭による対価の額の区分に常に従わなければならないことが明らかにされて
いるとはいえない。
②本件物件の譲渡が「合理的に区分されていないとき」に該当するか否か。
→「合理的に区分されていないとき」の趣旨が、事業者が恣意的に課税資産
の対価の額を設定して納税義務を免れようとする事態を防止するところにもある
ことに鑑みれば、「合意」の形成過程に合理性があるかどうかに限らず、
課税資産及び非課税資産のそれぞれの本来的な価額の比率や、これらを仕入れた
際のそれぞれの対価の額の比率との比較において、課税資産の対価の額の割合が過少に
なっていないかどうかなどの事情をも考慮すべきものと解される。
③国が算定した建物の譲渡に係る消費税の課税標準は、「合理的に区分されていないとき」
の方法によって算定されたものか否か。
→国が算定した方法は、「合理的に区分されていないとき」に従った方法として、適法である。
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