譲渡対価の額の按分方法を巡る争い<令和元年(行ウ)第480号、東京地裁令和4年6月7日判決>:
2022/09/11
1.問題の所在:
譲渡対価の額が合理的に区分されていない土地と建物が、
一括で譲渡され、譲渡対価の額の按分が問題となった。
イ)固定資産税評価額比率とロ)鑑定評価額比率との間で
大幅に乖離が見られたため。
2.消費税法上の規定:
事業者が課税資産と非課税資産とを同一の者に対して
一括で(同時に)譲渡した場合、これらの資産の譲渡対価の
額が合理的に区分されていないときは、その課税資産の譲渡等
に係る消費税の課税標準は、全体の譲渡対価の額に、
課税資産の価額と非課税資産の価額の合計額のうちに課税資産
の価額の占める割合を乗じて算定することとされています
(消費令45③)。
3.結論:
鑑定評価額比率で按分して算定すべきと判断した。
「消費税の課税標準の額を計算するために、一括して譲渡
された土地と建物の対価の額を按分する方法として、
当該資産の客観的な交換価値を上回らない価額と推認
される固定資産税評価額による比率を用いることは、
一般的には、その合理性を肯定し得ないものではないが、
当該資産の個別事情を顧慮した適正な鑑定が行われ、
その結果、固定資産税評価額と異なる評価がされ、
価額比においても実質的な差異が生じた場合には、
もはや固定資産税評価額による価額比を用いて
按分する合理性を肯定する根拠は失われ、
適正な鑑定に基づく評価額による価額比を用いて
按分するのがより合理的となるというべきである。」
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